🦵膝の裏が腫れている・張る…それ「ベーカー嚢腫」かもしれません
🔍 ベーカー嚢腫とは何か?
ベーカー嚢腫とは、膝の裏側に関節液などがたまり、袋状に膨らんだ状態です。
膝の裏側には、半膜様筋と腓腹筋内側頭という筋肉の間に滑液包があります。
膝関節内の関節液が増加すると、この部分に液体が入り込んで膨らみ、ベーカー嚢腫として確認されることがあります。
関節液は本来、膝関節を滑らかに動かすために必要なものです。
しかし、膝関節内に炎症や損傷などがあると関節液が増加し、それが膝裏へ流れ込むことがあります。
つまり、
「膝裏に水がたまったこと」だけが問題なのではなく、「なぜ関節液が増えたのか?」を考えることが重要
ということです。

🦴 ベーカー嚢腫では「膝裏だけでなく膝全体」を確認することが大切
ベーカー嚢腫について最もお伝えしたいことは、
膝裏の膨らみだけを見るのではなく、その背景にある膝関節の状態を確認することが大切
ということです。
成人のベーカー嚢腫は、単独で発生するだけではなく、
🦴 変形性膝関節症
🦵 半月板損傷
🔥 滑膜炎・関節液の増加
🌿 関節リウマチなどの炎症性関節疾患
などに伴ってみられることがあります。
そのため、
「膝裏が腫れているから、膝裏だけを施術する」
という考え方では十分ではない場合があります。
例えば変形性膝関節症が背景にある場合、関節内の炎症などによって関節液が増加し、その結果としてベーカー嚢腫が形成されている可能性があります。
その場合は、
「膝関節の動きはどうか?」
「関節液が増えていないか?」
「歩くときに膝へ負担が集中していないか?」
「太ももの筋力や股関節・足関節の動きはどうか?」
など、膝関節や下肢全体を含めて身体の状態を確認することが重要になります。
📚 ベーカー嚢腫について研究では何が分かっている?
① 変形性膝関節症や半月板損傷などとの関連
ベーカー嚢腫は、膝関節内の病変との関連が知られています。
整形外科領域のレビューでは、変形性膝関節症や半月板損傷などの膝関節内病変とベーカー嚢腫との関連が報告されています。
そのため、成人でベーカー嚢腫が確認された場合には、嚢腫そのものだけではなく、膝関節内に背景となる問題がないかを考えることが重要です。
② エコーはベーカー嚢腫の確認に有用🔍
ベーカー嚢腫については、超音波(エコー)の診断精度を検討した比較的質の高い研究があります。
2022年に発表されたシステマティックレビュー・メタ解析では、13研究・1,011人を対象として、超音波によるベーカー嚢腫の診断精度が検討されました。
MRIと比較した場合、
感度:94%
特異度:100%
AUC:0.97
という結果が報告されています。
これは、「ベーカー嚢腫が存在するかどうか」を確認するうえで、エコーが有用な画像検査となり得ることを示しています。
エコーには、
✔ 放射線被ばくがない
✔ その場で画像を確認できる
✔ 身体を動かしながら観察できる
✔ 液体がたまっている状態を観察しやすい
といった特徴もあります。
③ ただし、エコーですべてが分かるわけではありません⚠️
ここも非常に重要です。
先ほどのメタ解析で高い診断精度が示されたのは、主として「ベーカー嚢腫があるか、ないか」という評価です。
つまり、
「エコーがMRIと同じように膝関節内のすべてを評価できる」
という意味ではありません。
半月板や軟骨など、膝関節内部をより詳しく確認する必要がある場合には、医療機関でMRIなどの検査が必要になることがあります。
当院でも、問診・徒手検査・エコーなどによる状態確認を行い、必要と判断した場合には整形外科など医療機関への受診をご案内します。
④ ベーカー嚢腫そのものだけを治療すればよいとは限らない
症状のないベーカー嚢腫では、必ずしも治療を必要としない場合があります。
一方、痛みなどがある場合には、嚢腫だけでなく、その原因となっている膝関節の問題への対応が重要とされています。
医療機関では状態に応じて、
安静・活動量の調整、運動療法、薬物療法、注射、穿刺・吸引などが検討される場合があります。
また、基礎となる膝関節の問題が残っていると、嚢腫が再び生じる場合があることも知られています。
この点からも、
「嚢腫をどうするか?」だけでなく、「なぜ嚢腫ができているのか?」を見ることが重要
と考えられます。
👐 当院ではどのように身体を確認する?
上板橋かまた鍼灸接骨院では、膝裏の腫れや張り、膝の痛みなどがある場合、まず症状や経過を詳しく確認します。
そのうえで必要に応じて、エコー(超音波画像観察装置)を使用して患部の状態を観察します🔍
例えば、
✔ 膝裏に液体貯留がみられるか
✔ 液体の位置や広がり
✔ 膝関節周囲の状態
✔ 関節液貯留がみられるか
✔ 痛みを感じる場所と画像上の状態
などを確認します。
ただし、接骨院で行うエコー観察は医師による医学的診断に代わるものではありません。
詳しい検査が必要と考えられる場合には、医療機関でのX線・MRIなどをご案内します。
🦵 膝裏だけでなく身体の使い方も確認します
ベーカー嚢腫がある場合でも、膝裏だけに施術を行うとは限りません。
状態に応じて、
膝関節の可動域
太もも・ふくらはぎの筋緊張
下肢の筋力
股関節・足関節の動き
立ち方・歩き方
日常生活やスポーツでの膝への負担
なども確認します。
そのうえで必要に応じて、
👐 手技による筋肉へのアプローチ
⚡ ハイボルテージ・超音波などの物理療法
🪡 鍼灸施術
🩹 テーピング・サポーター
🏃♂️ 運動・セルフケア指導
などを組み合わせる場合があります。
ただし、これらの施術について、「ベーカー嚢腫そのものを消失させる」とする質の高いエビデンスが確立しているわけではありません。
当院で行う施術は、身体の状態に応じて、膝周囲の筋緊張や関節機能、動作時の負担などを考慮して行うものです。
※施術によるベーカー嚢腫の消失や症状の改善を保証するものではありません。
🚨 急にふくらはぎが腫れた場合は要注意
ベーカー嚢腫がある方で注意したいのが、突然のふくらはぎの腫れや強い痛みです。
ベーカー嚢腫は、まれに破裂して内部の液体がふくらはぎ側へ広がることがあります。
その場合、
⚠️ 膝裏からふくらはぎにかけて急に痛くなった
⚠️ ふくらはぎが腫れてきた
⚠️ 赤みや熱感がある
⚠️ いつもと違う強い痛みがある
などの症状が現れることがあります。
問題なのは、このような症状が深部静脈血栓症(DVT)などでも現れる可能性があることです。
そのため、急激な片脚の腫れや強い痛みなどがある場合には、「ベーカー嚢腫だから大丈夫」と自己判断せず、速やかに医療機関で確認してもらうことが大切です。
⚠️ 膝裏を自分で強く揉まないようにしましょう
「水がたまっているなら、揉めば流れるのでは?」
と思われる方もいるかもしれません。
しかし、膝裏の膨らみを自分で強く揉んだり、押しつぶそうとしたりすることはおすすめできません。
膝裏には血管や神経などの重要な組織が存在します。
また、「膝裏が腫れている=必ずベーカー嚢腫」というわけでもありません。
まずは膝裏に何が起きているのかを確認することが大切です。
🌸まとめ
今回の記事で最もお伝えしたいのは、
ベーカー嚢腫は「膝裏に水がたまった」という結果だけではなく、「なぜそこに液体がたまったのか?」まで考えることが大切
ということです。
成人のベーカー嚢腫では、変形性膝関節症や半月板損傷などの膝関節内病変が背景に存在することがあります。
また、ベーカー嚢腫の有無を確認する方法として、エコーはメタ解析でも高い診断精度が報告されています。
そのため、
「膝の裏が膨らんでいる」
「膝を曲げると裏側が張る」
「膝に水がたまっていると言われた」
「変形性膝関節症があり、膝裏にも違和感がある」
といった場合には、膝裏だけでなく、膝関節全体の状態を確認することが大切です😊
上板橋かまた鍼灸接骨院では、問診・徒手検査などに加えて、必要に応じてエコー(超音波画像観察装置)を活用した患部の状態確認を行っています🔍
お身体の状態によっては医療機関への受診をご案内する場合もありますので、膝について気になる症状がございましたらお気軽にご相談ください。
📚参考文献
Liu K, Li X, Weng Q, et al. Diagnostic accuracy of ultrasound for the assessment of Baker’s cysts: a meta-analysis. Journal of Orthopaedic Surgery and Research. 2022;17:535.
→ 13研究・1,011人を対象に、ベーカー嚢腫に対する超音波の診断精度を検討したメタ解析。
Frush TJ, Noyes FR. Baker’s Cyst: Diagnostic and Surgical Considerations. Sports Health. 2015;7(4):359-365.
→ ベーカー嚢腫の病態、膝関節内病変との関連、診断・治療についてまとめたレビュー。
National Library of Medicine. Baker cyst. MedlinePlus Medical Encyclopedia.
→ 症状、検査、治療、背景疾患への対応についての医学情報。













